どんなお話?
くまの仲良しのことりがある朝死んでしまいます。
悲しいに暮れながら、ことりの亡骸を小箱に入れ、
小箱を持ち歩くくま。
森の動物たちは、
くまの持ち歩いいている小箱の中身を見ると、
みんな一様に困った顔をして、
「ことりはもうかえってこないんだ。つらいだろうけど、わすれなくちゃ」
ことりを失ったくまに寄り添う言葉はなく、
忘れて乗り越えるように言います。
心を閉ざし、家にこもるくまですが、
やまねこと出会うことで、前へと進んで行きます。
当たり前の日々
いつも過ごしていた日常が、当たり前に次が来ると思っている。
でもその「当たり前」は当たり前であるほど、
ある日突然、失うものなのだということを忘れてはいけない。
当たり前だからこそ、日々を大切に過ごすこと。
別れを迎えても、一緒に過ごした時を思い返し、
ともに過ごした時間が、温かで濃密であればあるほど、
別れを受け入れるには時間が必要で、
それは、「忘れて過ごす」と言う時の過ごし方ではなく、
時間をかけて過ごした時間を反芻しながら過ごしてもいいものだと思う。
音楽が・・・
くまの悲しみに寄り添うやまねこ
やまねこも、かつてくまと同じ気持ちになったからこそ、
他のみんなと違った言葉が出てきたのかな・・・?
絵本なのに、まるで音楽が聞こえてきそうなこのシーン
悲しみは自分で乗り越えなきゃいけないけれど、
きっかけくれる人に会えて、くまは良かった。
読み聞かせ
小学校高学年くらいに良いと思いますが、
別れを経験したことのある人に読んでほしい1冊です。
別れをテーマにしたお話は、心に響くけれど、
読んでいる自分に響きすぎて、私は、読み聞かせはできません。
作品情報
くまとやまねこ 河出書房新社
文:湯本香樹実
絵:酒井駒子
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